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あん摩について

あん摩術

 私たちは、肩が痛いときには手が肩に行っていますし、目が疲れたときは目頭を手で押えています。これは自然な行動ですが、たしかに手を当てることによって、痛みや疲れが軽くなることがわかります。手のぬくもり、手の柔らかさのためでしょうか。これから「手当て」という言葉ができました。

 このように手当ては大昔から人が本能的に行ってきた医療行為のひとつでした。あん摩術という整った形のものは、中国から伝わって来ました。そして日本で改良を加えて、現在の術式になりました。世界に誇る日本の文化財産であり、「母さんお肩をたたきましょう」と歌われるほどに、人々に受け入れられてきました。

 学校では、なぜさする、もむ、おす、たたく等の基本手技を、患者さんのどの部位に応用するかという事を主に勉強します。その時に、自分の体の位置をどう定め、患者さんの姿勢をこう決めるということも大切なことです。

 また、あん摩術独特の曲手といわれる華麗な術や運動法という関節をダイナミックに動かす特殊なテクニックも学習します。術を受けている患者さんは、痛みや凝りが軽くなって行くにともない、身体全体がリラックスし、東洋医学で言う「気血」の巡りが良くなり、人間が本来持っている病を治す力、すなわち自然治癒力が活発に働きはじめることになります。


マッサージ術

 マッサージ術は西洋が起源です。古代ギリシャの有名な医師、ヒポクラテスもこの術を使っています。ローマ時代では、戦士・剣士たちの体力維持、健康増進に大いに応用されました。この伝統はヨーロッパの中世、近代を通じて維持され、現代西洋医学に受け継がれました。

 マッサージ術が日本に伝わってきたのは、明治にはいってからです。その頃、日本は明治維新を迎えて西洋文化・学術を取り入れることに一生懸命でした。そこで、西洋医学の理学療法の一種であるマッサージ術をも日本に移入しました。

 伝来の経過から見ておわかりのように、現在では病院のリハビリテーション部門などで応用されています。基本手技はあん摩と似たものもありますが、関節部分などは独自の手技を使用します。さらに素肌に滑りやすくするパウダーやオイルを使用して行うこと、また全身にわたって術を行うことは少なく、障害部分の局所に行うことが多いのが特長です。


指圧術

 あん摩術の中のおす方法(圧迫法)が、独立、発展したのもと言われていますが、武術の活法、関節の運動法などの技術も取り入れて、一つの術として集大成したものです。

 持続の原則、集中の原則、垂直の原則を重んじ、親指や手のひらを使い、ゆっくり押す、速く押す、急に離す等の技法を応用し、様々な病気の治療に効果を挙げています。